『令和の虎』感想ブログ Tiger Watching

YouTube『令和の虎CHANNEL』(Tiger Funding)の感想をアップします。

#令和の虎 における賭けポーカー(賭博容疑)関与の桑田龍征氏と齋藤友晴氏(トモハッピー)の復帰について、当感想ブログ『Tiger Watching』の見解

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結論

いち視聴者として復帰は歓迎だが、投資ショーとしての原則が揺らぐ恐れがある。

 

 

背景

 警視庁は1日、ユーチューブ番組「令和の虎 CHANNEL」の出演者を含む25~42歳の男14人を賭博などの容疑で書類送検し、発表した。参加者の大半が容疑を認めているといい、「友達同士なら大丈夫かなと思った」などと話しているという。

「令和の虎」出演者ら賭けポーカー容疑 経営者など14人書類送検:朝日新聞デジタル

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投資ショーとして

『令和の虎』、そしてタイガーファンディングは、ショーである。投資のショー。人生を左右するかもしれない大切な投資を、YouTubeに実名と顔を公開して出演する。この時点で実はもう尋常ではない。こっぴどく叩かれてNOTHINGにでもなれば、ビジネスデジタルタトゥーを刻まれたも同然だ。なので、「まとも」な人は出演しない。そう思っている。その上で、これは前身の『マネーの虎』同様に、ショーである。見世物。興行。虎たちと志願者がヒリヒリした空気の中でひとつのビジネスモデルについてディベートを繰り広げる。そこに多種多彩な視点や示唆やドラマが生まれる。究極なところ、「ビジネス版あいのり」なのだ。その上で、私は『マネーの虎』同様にタイガーファンディングが好きだ。面白い。エンターテインメントとして見応えがある。

 

……という前提で、ショーが盛り上がるのに必要なのは、演者である。志願者は毎回初登場なので、この場合大切なのは虎。虎たちのプランへのアプローチやキャラクターがいかに面白いか。志願者の映像映えする要素をいかにテクニカルに引き出し、番組としての撮れ高を作るか。そこが重要なのである。この点でいくと、桑田社長とトモハッピーは非常に上手い。上手である。エンターテイナーだ。ホストとして「場の急所」を正確かつ迅速に嗅ぎ分けて時にピエロにもなれる桑田社長と、TCG畑だからか天才肌かつ芸術家肌で理屈を超えた判断や質問を次々と繰り出すトモハッピー。彼らのエンターテイナーとしての才覚には素晴らしいものがある。

 

林社長を含め、この3名が抜けた後の虎の面々は、エンターテインメントのクオリティに欠けていた。茂木社長・三浦会長・高澤社長といったオールドチームも、桑田社長らエンタメ性の高い虎がいて初めて良さが活きるバランスがあった。全ては相乗効果なのだ。新虎(ポーカー事件後に加入した虎の呼称)の面々も、まだ場の空気を読んでいるのか全く面白さには届いていない。この事件以降、華のない、エンタメに欠けた回が量産されていたのは事実である。

 

つまり、投資ショーの観点からいくと、桑田社長とトモハッピーの復帰は歓迎したい。いち視聴者として、明らかに彼らがいた方が面白いと確信できるからだ。

 

 

番組の責務として

これは岩井主宰の6月3日の動画でも気づかされたことだが、そもそも、通常こういう場合にどういった「対応」が正しいとされるのか、その根本の部分だ。

 

出演者や関係者が違法性のあることをして、逮捕あるいは書類送検されたとする。その場合、コンテンツの配信を自粛したり、中止したり、そういったことが行われる。なんのためか。ひつとはまず、被害者への配慮。直接の被害者がいるケースはこの理由が最たるものだろう。もうひとつは、スポンサーへの配慮。「そんな人が出ているものにお金を払っている企業」というラベリングを発生させないため。コンプライアンス、あるいは社会的な責任問題として、こういった側面から何かを取り止めたりするのだろう。

 

では、今回のケースはどうか。当事者同士の賭けポーカーなので、直接的な被害者はいない。あくまで「直接的な被害者」と表現する。これによって生活が変わるだろう間接的な被害者はいるからだ(例えば晴れる屋の社員など)。次にスポンサーだが、岩井主宰が言っていた通り、スポンサーはいない。これはYouTube番組なので、そういった意味では配慮する相手がいない。全ては配信者である『令和の虎』自身、正確には運営母体である株式会社 MONOLITH Japanの責任だ。そこが良しとすれば理屈の上では良しとなる。

 

なので、『令和の虎』自身が復帰させると決断するならば、それが正解になるのだろう。スポンサーがいないYouTubeなのだ。観たくない人は観なければ良い。それで数字が下がっても全て自分達で招いたことだからだ。あのホリエモンだってYouTubeチャンネルを運営して130万人以上の登録者がいるのだ。全ては自身の責任で全うできる。それが、YouTubeなのだろう。イマドキなのだろう。

 

 

ビジネスとして

しかし、このタイガーファンディングに限って言えば、彼らの復帰には根本的かつ絶対的な課題がある。それは、例えショーだとしても、しっかりビジネスとしてお金を融資あるいは投資するという「実」の側面があるからだ。見世物で興行だとしても、ビジネスはビジネスである。そこには確実にお金のやり取りが発生するのである。それは、与信の問題とは切っても切り離せない。

 

コンプラ厳守が強く叫ばれるこの時代、志願者は「違法賭博した人からの資金提供」を快く受けるだろうか。仮に受けたとして、その志願者の会社の顧客や取引先は「違法賭博した人から資金提供を受けた会社のサービス」をどういう目で見るだろうか。そこに信頼はあるか。信用はあるか。手堅さを感じるか。何かを任せようと思うか。リスクを共に背負おうと思えるか。

 

今回の復帰の一番の問題は、ここである。

 

それが配信されるかは分からないが、今後、志願者側からお金を積んだ桑田社長とトモハッピーに対して「あなたからの出資は受け取れない」とそれにNOを突き付ける場面が、大なり小なりあるのではないかと思う。そして、それは致し方ないものだ。ビジネス上のリスクヘッジとして全うだ。岩井主宰はタイガーファンディングに社会的意義があるとしきりに主張され、それについていち視聴者である私もいくらかは同意するが、その「意義」の根幹が成立しなくなる恐れがある。あるいは成立したとして、志願者にこれまでになかった新たなリスクを背負わせる形になってしまう。果たして、それで良いのか。タイガーファンディングの社会的意義は、このリスクを孕んだままでも成立するのか。

 

 

実際問題、こういう事態も既に起きている。

 

私はいち視聴者である。タイガーファンディングというショーが好きな、いち視聴者である。彼らの復帰を受け、番組がどう変容するのか。見届けたい。