とても有意義な回だった。まずそれが何より先に立つ。虎の全員が志願者である糸川さんを子か孫のような視線で見ていたが、それは決して下に見るそれではなく、14歳なのにここまでしっかりとした考えを持ち、それをある程度客観視し、それなりのワードを使って表現できる、この完成度に慄いていたのだ。慄いているのに暖かい雰囲気。すごい。なかなか見ない空気。糸川さんより二倍も三倍も生きている志願者がよく分からない受け答えを連発してしまうのを連日見ているので、余計にすごいと感じてしまうのであった。
しかし三浦会長が言っていたように、ビジネスとしては厳しいと思われる。意図や狙いはよく分かるが、やはりレジ設置側のコストがかかりすぎる。例えばセブンイレブンはセミセルフレジを導入しているが、糸川さんのビジネスモデルでは、あのレジの画面に専用のQRコードが表示されそれをユーザーが読み取るイメージだろう。しかしそれには、セブンイレブン側が全国のレジにそのシステムを組み込まなくてはならない。家計簿アプリと同一になるのであれば、対応店舗の多さがなにより大事だ。家計簿はひとつに集約されて意味がある。なので、全国規模でより多くの店舗がこれを導入してくれないと、このアプリを使う利便性をユーザーが感じられない。ミニマムで始められない構造になってしまっている。
といったことは、三浦会長は十分に分かっているだろう。だから、令和のウラでも再三言っていたが、失敗したっていいのだ。14歳でこれだけ他者とビジネス的なコミュニケーションが取れる人材を、正直に言って、三浦会長は囲い込みたかった。これは青田買いを意味する金積みと見るべきだ。でもそれでいい。この投資ショーにはそういう側面が元より多分にあるのだから。
完全におじいちゃんムーブだった岩井主宰が見どころ。
